成功体験の呪縛2.白銀彼方の独白

黄前先生の物語
その2

合奏の楽しさ、というものが分からない

ユーフォが吹ければ他のことなんてどうでも良かった

ユーフォを吹いている時だけが、本当の自分でいられる気がする

胸に抱いた金属の管から奏でられる柔らかな音色

自分の指が、自分の息遣いが、その色を変えてゆく

私にとって演奏は誰かに聴かせるためのものではなかった

私の演奏は、誰にも見せることのない日記を書くようなものだった

演奏が日記だとすれば、ユーフォは万年筆みたいなもの

私の心を音楽という形に変えてくれる大切な唯一無二の存在

ユーフォがあれば、いつだって私は私でいられる

私はユーフォが吹ければ他のことなんてどうでも良かった

合奏の楽しさなんて、分からなくてもいい